第一章 学校探しの「いろは」を知ろう
1.学校探しはいつから始めるのか?
保護者の方がお子さんの進学先を探し始めるのは、いつからが良いでしょうか。
基本的には皆さんの家庭の状況に合わせて始めれば良いと思います。しかし、それではあまりにも漠然としていますので、ある程度の目安を書きます。あくまで目安ですが、中学受験であれば小学五年生の夏までに始めましょう。高校受験であれば中学二年生の夏です。超難関校を受験する場合にはさらに前から始めましょう。これは保護者の方が学校を探し始める時期のことです。志望校を決定する時期でもありませんし、お子さんが受験勉強を始める時期でもありません。
以上のように、学校探しは入試の一年半前に始めます。なぜ一年半前なのかという理由については後述します。
一年半前から探したほうがいいと言われると意外と早いと感じるかもしれませんが、「備えあれば憂いなし」ということわざがあるように、早くから準備を始めるのは良いことです。二年前や三年前から探し始めても良いのです。早いに越したことはありません。
・注意したいポイント!
進学先を探し始めるのがあまりに遅くなってしまうと弊害が生じます。実例を挙げて説明します。
Aさんの家庭では子どもに中学受験をさせることは決めていましたが、志望校を決めていませんでした。とりあえず親は国語と算数の参考書を買ってきて子どもに勉強させました。その後も志望校を決めないまま時が過ぎました。ようやく志望校が決まったのは入試三カ月前です。その学校の入試科目は四科目です。国語と算数だけでなく理科と社会のテストもあります。
国語と算数だけを勉強していた子どもは、入試直前に親から「理科と社会も入試に必要になった」と言われてひどく動揺しました。子どもには焦りと戸惑い、親に対する不信感、さらには不満がありましたが、親に言われた通り理科と社会の勉強もしました。ご想像通り、子どもの努力も虚しく結果は不合格でした。
この例では明らかに理科と社会が勉強不足でした。もっと早くに志望校が決まって四科目入試の準備をしていれば結果は変わっていたかもしれません。親も準備不足を悔やんでいました。十分な入試対策ができるように余裕をもって学校探しを始めましょう。
中学受験の場合、子どもの気持ちよりも親の意向を反映した受験になります。子どもが落ち着いて受験勉強に臨めるように、親が責任を持って計画的に準備することが望ましいです。
高校受験の場合も同様です。子どもは親を頼って志望校を決めていきます。たとえ親子の会話が減ってきていても、子どもは進路のことについては親のサポートを期待しています。お子さんの希望を聞きつつ、保護者の方が率先して学校を探していきましょう。
2.受験案内を参考にしよう
ここからは、どのように学校探しをすれば良いのか説明していきます。
本屋さんで販売されている「受験案内」をご存じですか。とても分厚い本でその地域の学校がすべて紹介されています。一ページに一校ずつ掲載されていて学校の沿革、規模、設備、入試要項、前年度の入試結果、進学実績、合格難易度などが書かれています。複数の出版社が「受験案内」を発売しています。各学校の先生による受験生へのアドバイスを掲載するなど、他書と差別化を図る「受験案内」もありますが、どの受験案内もほぼ同じ内容です。
この「受験案内」は志望校の絞り込みが進んでいない方におすすめです。居住地域周辺の学校をこの一冊で比較できます。学校の比較の仕方については、第二章以降で具体的に説明します。・・・・・・
※実際の電子書籍は縦書きです。