ルビとは・・・・・・
漢字などの脇に付ける振り仮名のことです。
主に文章作成機能のあるアプリケーション内で使用する用語です。
一般的に縦書きの場合は漢字などの右側に、横書きの場合は上側にルビが振られています。
漢字以外にも発音の難しい英単語にもカタカナでルビが振られることもあります。
ルビの語源と歴史
1445年にドイツのヨハネス・グーテンベルグが活版印刷を発明しました。
日本には活版印刷の技術が16世紀頃に伝わってきますが、普及しませんでした。
明治時代になって日本独自で発展した号数活字を用いた活版印刷が実用化され、新聞や雑誌などの印刷技術が向上しました。
その頃から難読漢字に仮名を振っていました。
当時の日本は開国をして西欧の文明が多く流入していました。
イギリスの活版印刷についても同様です。
イギリスでは文字の大きさを「ポイント」という単位で表します。
現在、私たちがWordなどで文字の大きさを指定する際にも「ポイント」という単位を使用していますね。
イギリスではそのポイントごとに宝石の名前を付けて呼んでいました。
6.5ポイントはエメラルド、5.5ポイントはルビー、5ポイントはパール、4.5ポイントはダイヤモンドといった具合です。
その中でルビーと呼ばれている5.5ポイントの文字が当時の日本の振り仮名の大きさとほぼ同じでした。
これをきっかけに日本の印刷業界では振り仮名のことをルビと呼ぶようになりました。
「ルビ」は宝石のルビーが語源になっているのですね。
一般の人々にルビという言葉が広まったのはワープロやパソコンが普及してからです。
ルビと振り仮名の違い
本来、ルビは印刷される文章に対して用いる印刷用語です。
手書きの文章に振ってある仮名は「振り仮名」と言い、ルビとは言いません。
そのため、手書きの文章に「ルビを振りました」と言うと、それを聞いた人の中には違和感を覚える人もいます。
でも、現在はルビという言葉は広く普及していて、小学生でもルビという言葉を知っている時代です。
子どもの頃からパソコンやスマホ、タブレット等の端末を用いて電子データの文章を作成し、ルビという言葉を覚えるのです。
ご存じの通り、電子データの文章は印刷されるとは限りません。
送信したり保存したりするだけの文章もあります。
つまり、ルビは印刷用語とは言えなくなっているのです。
今後はルビと振り仮名の差異を意識せず同義語として捉える人が多くなっていくのではないかと予想されます。
ルビが多ければ読者に親切な文章になるとは限らない
ルビが文章中にあれば自分で読み方を調べる必要がないのでありがたいものです。
でも、ルビはあまりにも多いとありがた迷惑な存在になります。
なぜなら、ルビが多くなればなるほど文章は読みにくくなるからです。
文章には1行ごとに余白がありますよね。
その余白の部分がたくさんのルビで埋まっていたら、ごちゃごちゃしていて読みづらくなります。
文章の内容が読みやすくても、レイアウトが原因で読みにくくなっている文章は意外とあります。
だからといって、文章中の漢字が読めない人にとってルビは必要ですよね。
書き手は読みやすさを意識しながらルビの加減を調整しなければいけないのです。
一度振ったルビを後で調整するのは非常に苦労しますので、最初からルビを意識しながら文章を作成していくのがおすすめです。
そこで、読みやすい文章を作成するコツを紹介したいと思います。
読みやすい文章作成のコツ
1、読者の対象年齢にあわせて漢字を使用する
まず何よりも大切なのは読者の対象年齢にあわせて漢字を使用するということです。
小学校の教科書を思い出してみましょう。
小学生を対象とした文章に中学校以上で習う漢字は基本的に使われていませんよね。
対象者の知らない漢字は使わない。
これが基本です。
この基本を守ればルビを振る回数が明らかに少なくなります。
たとえ小学生を対象としていても、歴史上の人物や地名のように漢字で表記したほうがよいこともありますよね。
このように習っていない漢字を使用せざるを得ないときにルビを振るのが効果的です。
なお、大学生以上を対象年齢とした文章であれば、常用漢字を使用して構いません。
ほとんどの漢字にルビを振る必要もありません。
漢字を適切に使用してルビを振る回数を減らす工夫をしましょう。
2、読者に合わせてルビを使用する
読者に合わせるとはどういうことでしょうか。
抽象的で分かりづらいですよね。
再び小学生を例に挙げて説明していきます。
小学生を対象とした書籍が本屋さんにはたくさん売られています。
物語や伝記などジャンルはさまざまです。
その本では中学校以上で習う漢字にはルビが振ってあります。
もしルビが振っていなければ、読者である小学生はどうするでしょうか。
多くの子どもは読めない漢字を見つけるとその部分を飛ばして読み進めます。
読み方が分からなければ、その意味もわかりません。
子どもたちは言葉の読み方も意味も理解しないまま先に進めていくのです。
しかし、それを繰り返していくうちに読み方が分からないことへのストレスがたまっていきます。
最終的にはその文章に対する興味がなくなります。
ルビが不十分であれば、せっかく書いた文章も最後まで読んでくれないのです。
子どもに限らず、大人もルビの少ない文章にはストレスを覚えます。
著者に対して不親切だと感じる人もいるでしょう。
ルビを適切に用いて読者に寄り添うことが著者には求められています。
逆にルビが多すぎるために読者を遠ざけてしまうこともあります。
投資のノウハウを紹介する社会人向けの実用書で「経済」や「銀行」という言葉にルビが振っていたら、本屋さんでその本を立ち読みした大人はどう思うでしょうか。
「どうやら子ども向けの本のようだ」と思って、その本を元の棚に戻すでしょう。
何でもかんでもルビを振ればよいわけではないのです。
適切にルビを振らなければなりません。
ただし、読者の対象年齢だけで判断するのは不十分です。
読者の対象範囲も意識してルビを振る必要があります。
たとえば、あるサラリーマンが心臓病について知りたいと思って『心臓病について知ろう』という書籍を購入しました。
読み進めていくと「一過性脳虚血発作」や「頸動脈狭窄」という用語が出てきました。
その用語にルビは振ってありません。
きっと多くの大人はその用語を正しく読むことができるでしょう。
でも、正しく読めていると自信を持って言える人は少ないのではないでしょうか。
読者は自信を持って読み進めることができない文章を避けるようになります。
医者を対象にした論文であればルビは不要だったでしょうが、医学を専門にしていない人たちにはルビを振っておくのが親切です。
このように、読者の対象年齢や範囲を意識しながらルビを振ることが大切です。
3、誤読のおそれがあるならばルビを振る
書き手にとって一番大切なのは、自分の意図した通りに内容が読み手に伝わることです。
その手助けをしてくれるのがルビです。
たとえば、エッセーの中で「私は河豚が大好物だ」という一文があったとします。
魚の「ふぐ」が大好きだという意味ですが、ルビがなければどうでしょうか。
読者の中には「自分は聞いたことのない品種だが、著者は特定の品種の豚を食べるのが好きらしい」と思う人もいるかもしれません。
中には「イルカが大好物なんだ。イルカを食べるってなんかちょっと怖いな」と思う人もいるでしょう。
イルカを意味する「海豚」と混同しているわけです。
こんな読み間違えをする人はいないと思っていませんか。
意外といます。本当に。
このような人たちを知識の乏しい人だと切り捨てる書き手もいるでしょう。
しかし、誤読のおそれがあるならば書き手がルビを振って未然に誤読を防いであげなければなりません。
なぜなら、書き手の意図した通りに読み手が理解してくれないのは書き手にとって最大の不幸だからです。
文章を作成する際には常に読み手を意識することが大切ですね。
4、同じ漢字に何度もルビを振らない
たとえば、小説の主人公が「小笠原」という人物だとします。
もし「小笠原」という言葉が文章に出てくるたびに「おがさわら」とルビを振っていたら、読者はどう感じるでしょうか。
想像してみましょう。
同じページ内で何度も「小笠原」にルビが振られています。
同じ行に二回以上「小笠原」が出てくることもあります。
どう感じましたか。
読者の多くはそのルビを目障りだと感じるでしょう。
読者はストレスを感じれば文章の内容に集中できなくなります。
読むのを辞めてしまう人もいます。
そのため、同一漢字に対してどのくらいルビを振るのか決めましょう。
一般に販売されている書籍では、同一漢字に対してルビを振る頻度は以下の通りさまざまです。
・文章全体で最初の一度だけルビを振る
・各ページで一回だけルビを振る
・各章の最初だけルビを振る
ルール作りは大切です。
ルビを振る頻度が文章内で不統一だと作品としての完成度が下がってしまいます。
なお、文章を作成する前にあらかじめルールを決めておきましょう。
長い文章であればあるほど、後でルール通りにルビを振り直すのはとても苦労します。
まとめ
読みやすい文章作成のコツを4つ挙げてみましたが、いかがだったでしょうか。
ルビを上手に振ることで読者は気持ちよく文章を読み進めることができますよ。
当社のサービスのご紹介
当社ではルビを振るサービスをおこなっています。
お客様が作成した文章に出版のプロがルビを振ります。
お客様の文章にルビがすでに振ってある場合には誤りの有無を確認し、添削もしくは修正します。
文章の用途や読者の対象年齢などをお聞きした上でルビを効果的に振ります。
ルビのサイズやフォント、配置など細かい指定も可能です。
ぜひ一度ご利用くださいませ。
ご興味のある方はこちらをお読みください。