進路指導を長年担当した元教員で、現在は教育コンサルタントをしている滝川知靖です。
受験は人生の大きな分岐点です。
そのため、志望校選びで失敗したくありませんね。
そこで志望校選びのアドバイスをいたします。
今回は志望校を決める際に大いに参考になる「合同進学相談会」をテーマにします。
目次
合同進学相談会に参加しよう
志望校を絞り込みたいと思ったら私立校の合同進学相談会に参加しましょう。
お子さんが受験学年でなければ保護者だけの参加でも構いません。
けれども、お子さんに受験への意識づけをさせたいという意図があるならば連れていく価値があります。
会場には多くの受験生が来ています。
刺激になることは間違いありません。
受験学年ならば親子で一緒に参加しましょう。
合同進学相談会とは?
全国の都市で合同進学相談会が実施されます。
合同進学相談会とは、その地域の私立校が合同で実施する相談会です。
たとえば、東京私立中学高等学校協会が主催する「東京都私立学校展 進学相談会」には、都内のすべての私立中学校および高校が参加しています。
夏だけでなく春や秋にも各地で開催していますが、夏の合同進学相談会は大規模なのでおすすめです。
学校ごとにブースがあって、来場者は興味のあるブースに行って学校の概要を聞いたり相談したりできます。
合同進学相談会は予約不要で参加費無料です。
受付を済ませると入口付近に会場内のマップが掲示されています。
マップを見て興味のある学校のブースの場所を確認しましょう。
学校のブースで話を聞く
では、直接話を聞いてみたい学校のブースに向かいましょう。
繰り返しになりますが、会場入口付近に会場内のマップがありますので志望校のブースの場所を必ず確認してください。
というのも、合同進学相談会は大変な混雑です。
大規模な相談会であれば一日に二万人程度が来場します。
開始時間の前から受験生の親子が会場前に長蛇の列をつくる盛況ぶりです。
開場して五分も経てば、人気のある学校のブース前には長い行列ができます。
マップを見ずに歩き始めると人ごみをかき分けつつ道に迷うことになり、それだけで体力を消耗しますよ。
お目当ての学校のブースの前に着いたら具体的な相談がなくても「受験を検討しています」と声を掛けてみましょう。
学校について一通り説明してくれます。
説明を聞きながら進路指導や部活動、学費など気になる点を質問すれば理解が深まります。
一家族に対して一人の担当者が対応するので、他の受験生にあまり聞かれたくない相談もしやすいかと思います。
「現在子どもが不登校です。入試で不利になりませんか」、「経済的に苦しいのですが、奨学金はありますか」といったような相談をされる方もいます。
高校受験の場合、「推薦入試を受けたいけれど内申点が足りない」と相談される方も多くいらっしゃいます。
すぐ隣に別の家族がいる場合は何でも相談するわけにはいかないかもしれませんが、それでも知りたい情報をある程度聞けるでしょう。
受験を検討している学校が複数ある場合は一日にまとめて話を聞いてみましょう。
学校によってカリキュラムや学校行事などの特徴が異なります。
どの学校がお子さんに適しているのか比較してみてください。
比較対象があることで志望校選びがはかどりますよ。
先生は営業マン
ところで、その日の先生たちは営業マンです。
各ブースの前で客引きならぬ「受験生引き」をおこなっています。
一人でも多くの受験生にブースに来てもらい、入学者数を増やそうと意気込んでいるのです。
保護者のように大人の方であれば彼らをさらりとかわします。
けれども、子どもは断り切れずにブースへ案内されてしまいます。
受験する予定のない学校の話を聞くのは時間の無駄です。
一度ブースに引き込まれると時間を二十分ほどロスするので気をつけましょう。
このように不要な寄り道を余儀なくされると、目的地になかなかたどり着けません。
親子で参加するときは、お子さんに「A学校とB学園のブースに行きたいから、それ以外の学校から勧誘されても断って進んでね」とあらかじめ伝えておきましょう。
一方で、通りがかりにたまたま案内されたブースでその学校に魅力を感じ、その後実際に入学する子たちもいます。
志望校を決めていない子や受験に対して関心の低い子に多いケースです。
偶然の出会いとは言え、結果として充実した学校生活を送れたのであれば入学して正解だったのでしょう。
ご家庭によって合同進学相談会に参加する目的は違うと思います。
「第一志望の学校について詳しく知りたい」、「志望校を比較して受験する学校を決めたい」、「いつまで経っても受験に無関心な子どもに進学先を考えてほしい」などさまざまです。
目的を達成できるように有意義な一日にしたいですね。
おすすめの来場時間
おすすめの来場時間は相談会終了の二時間前です。
混雑が解消されてきて会場内は歩きやすくなります。
各学校のブースを効率よく回ることができるでしょう。
志望校を決めていなくて時間をかけてゆっくりまわりたい人や4校以上の学校から話を聞きたい人はもっと早い時間帯に来場しましょう。
学校案内を集めよう
合同進学相談会では各学校の学校案内を自由に持ち帰れます。
普段であれば、学校案内のパンフレットを手に入れるには学校のホームページから送付を希望するか、学校説明会に参加する必要があります。
手間が掛かりますね。
けれども、合同進学相談会であれば一網打尽です。
学校案内は会場の壁際にあいうえお順で並んでいることが多いです。
上限はありませんので気になる学校があれば持ち帰りましょう。
各学校のブースに行かなくてもよい上に学校側に自分の名前も知られないので気軽に集められます。
キャリーケースいっぱいにパンフレットを詰め込んでいる親子も見かけます。
自宅に戻ってから学校案内を比較して進学先を検討しましょう。
まとめ
以上のように、合同進学相談会に参加することで効率よく志望校の話を聞いたり志望校を比較したりすることができます。
受験に対する子どもの意識を高める効果もあります。
志望校選びで失敗しないためにも各ブースでは気になることをたくさん質問して理解を深めましょう。
合同進学相談会で志望校を絞り込めたら、今度はその学校の説明会に参加しましょう。
説明会では学校のカリキュラムや授業について詳しい説明があります。
学校案内に記載していない情報も聞けますので、ぜひ参加してみてください。
令和時代の私立中学校・高校選び ~わが子の進学先をどう選ぶか~(令和6年4月10日発売)
元私立中学・高校の教員が志望校選びのポイントから志望校決定までの流れ、入試までに「しておきたいこと」、「してはいけないこと」を分かりやすく教えます。
中学受験もしくは高校受験を控えた保護者の方にぜひお読みいただきたい1冊です!
公式サイト価格 1,870円(税込)
電子書籍(EPUB)を初めてご購入される方も安心♪
電子書籍の閲覧方法をご案内します。
販売ページで作品の内容や電子書籍の閲覧方法を詳しく紹介しています。
ご購入されたお客様は利用規約・キャンセルポリシーにご了解いただいたものとさせていただきます。
著者紹介
滝川 知靖(たきがわ・ともやす)
東京都在住の教育コンサルタント。大学卒業後に教員になり、私立高校や通信制サポート校を経て東京都内にある中高一貫教育の私立女子校で教壇に立つ。学校説明会の企画運営、入試問題作成、入試面接など受験に広く携わってきた。約二十年間で中学一年から高校三年までの全学年の担任を務めた。特に、中学三年と高校三年の進路指導の経験が豊富。また、生徒一人ひとりの悩みに昼夜を問わず親身になって相談に乗る日々を過ごしてきた。特に弱い立場の子どもたちを支えたことで知られている。現在は教育コンサルタントとして生徒および保護者のサポートをしている。その内容は進路相談、勉強方法、不登校の生徒のサポート、発達障害のある子の支援など多岐に渡る。学校現場からの相談にも対応している。
近著『令和時代の私立中学校・高校選び ~わが子の進学先をどう選ぶか~』