学校教育についてのご相談を承ります!
学校業務を改善する Part2
今回は学校業務を改善する2つめの方法を紹介します。
2回目の今回は学校で実施されているアンケートです。
年度末に実施される学校評価アンケートのことではなく、それ以外のアンケートについて改善していきたいと思います。
本ページを読んで「自分の勤めている学校ではこの件について不満がない」、「自分の学校では無駄なアンケートを実施していない」と思う方もいらっしゃるはずです。
学校運営が円滑で効率よくおこなわれている場合にはそのように感じると思います。
そのような方はご参考程度にお読みください。
Part1をお読みになりたい方はこちらへお進みください。
無駄なアンケートを減らす!
学校業務を改善するために無駄なアンケートを減らしましょう。
体育祭や文化祭が終われば、生徒に感想文を書かせるというのは学校のお約束です。
準備期間から本番当日までを振り返り、努力や友情、感謝の気持ちなどを再確認することは子どもたちの人格形成に大切なステップとなります。
一方で、感想文とは別に行事をおこなうたびに生徒や保護者にアンケートを実施する学校もあります。
生徒や保護者に耳を傾ける姿勢は良いことですね。
でも、教員はそのアンケートのためにどのくらいの負担を背負っているでしょうか。
まず去年のアンケートを基に今年のアンケート内容を確認し、必要に応じて修正します。
行事が終わると各クラスでアンケートを配布します。
その後のアンケートの回収は一苦労です。
期限を過ぎても提出してくれない保護者や生徒は一定数いるからです。
未提出の保護者に電話を掛けることもあります。
アンケートが集まったら今度は集計です。
「楽しかった」、「入学後一番の思い出になった」など自由に記述できる質問項目も一つひとつデータ化します。
これは実に手間の掛かる作業です。
最後に保護者や生徒に集計結果を報告します。
要望や批判はどう活用する?
アンケートを集計してみると、来年度への課題となるような建設的な意見も見受けられます。
批判的な意見も少なからずあります。
では、保護者や生徒が回答してくれたアンケートは来年度の学校行事にどう影響していくでしょうか。
たとえば、施設に関する要望は絶えません。
特に保護者からのリクエストが多いです。
「学校のグラウンドが狭い。近くの競技場を借りて体育祭を開催してほしい」
「文化祭の吹奏楽部の発表は音響設備の整った市の音楽ホールで演奏させてあげたい」
要望通りに、すべての行事が理想的な環境でおこなえたらベストです。
しかしながら、他の場所を借りるとなれば、教員が分担して当日に最寄り駅から会場まで生徒を誘導することになります。
会場の準備にも人員が割かれる上に、遅刻・欠席者の対応や普段保健室登校をしている生徒の対応も必要です。
ご存じの通り、外部の会場を借りて行事をおこなっている学校もあります。
このような学校は大きな行事をおこなうだけの施設が校内に備わっていないため仕方ありません。
しかし、ほとんどの学校は総合的に判断して学校内で行事をおこなうことを選択します。
学校であれば本番と同じ場所でリハーサルが行えます。
着替え場所の確保や貴重品の管理なども普段の学校生活と同じですので慣れたものです。
先ほど記載した保健室登校の子達の居場所を確保するためにも学校は最適です。
また、学校行事の予算は雀の涙ほどしかありません。
模造紙などを購入していると予算はなくなってしまいます。
受験料と授業料くらいしか収入のない学校で贅沢なことはできません。
そのような中でアンケートを実施しても、その手間に見合うほどの改善はできないのです。
これが学校の実情です。
ここでは施設についての要望を例に挙げましたが、他の要望も応えられないものが多いです。
しかし、保護者や生徒の立場になったらどう思うでしょうか。
わざわざアンケートに回答したのに、次年度に改善されていなければ学校に不満を抱くことでしょう。
改善できるものは改善したいという思いでアンケートをおこない、忙しい中で集計をしているのに結果的に恨みを買ってしまうこともある……。
それならば……保護者・生徒向けのアンケートを思い切って廃止してみませんか。
アンケートを実施しなくても改善できる!
保護者や生徒にアンケートを実施しなくても、どうしても伝えたいことがあれば伝えに来てくれます。
わざわざ意見を伝えに来るぐらいですから、その意見はきっと改善につながる貴重なものでしょう。
アンケートを廃止すれば、先生方の負担を大きく減らします。
作成、配布、回収、集計、報告のすべてがなくなるのですから。
そもそも「楽しかった」、「どちらかと言えば楽しかった」などのパーセンテージを見なくても、子どもたちの表情を見ればわかりますよね。
教員対象のアンケートも廃止する!
保護者や生徒対象のアンケートを例に挙げましたが、教員対象のアンケートも実施する必要がありません。
体育祭や文化祭の翌日におこなわれる職員朝礼で「今回の行事で気になった点がありましたら、今週中に係にお伝えください」と言うだけで十分です。
教育上もしくは安全上看過できない点があれば言いに来てくれます。
あとはその行事担当の先生が数人で集まって振り返ればよいでしょう。
体育祭や文化祭に限らず行事をおこなうたびに教員に対してアンケートを実施する学校があります。
避難訓練、社会見学、入学式や卒業式、オープンキャンパスなど。
職員室内のあちらこちらで教員がそれぞれの担当するアンケートを集計しています。
何か行事をおこなうたびにアンケートに回答する側も大変です。
このような学校はアンケートを通して教員同士が批評ばかりしています。
これでは肝心の教育にも悪影響を与えます。
もっと信頼し合うことが大切です。
「係の先生が決めたことなのだから彼らの方針に従おう」
「少しばかり気になることもあったけれど、大きな問題ではない。係の先生も理由があってあのような方法を選んだのだろう」
この信頼関係が教員の負担を大いに減らしてくれます。
伝えておくべき点があれば係に直接伝えればよいのです。
アンケートは聞く耳を持っているアピールにはなりますが、本当に大切なことは聞くべき意見に耳を傾けることです。
さあ、無駄なアンケートをなくしましょう。
まとめ
学校教育はモノを売るわけでもなく、100%効果のあるサービスを提供するわけでもありません。
そんな学校教育が成り立っているのは教員と保護者・生徒との間で信頼関係があるからです。
この信頼関係が崩れると学習指導も生徒指導もすべてうまくいかなくなります。
アンケートはそのリスクをはらんでいます。
その後の対応を間違えれば保護者や生徒から不信感を持たれます。
集計などに労力を割いたにもかかわらず、保護者や生徒との信頼関係が揺らぐのであれば本末転倒です。
大きな改革を起こすくらいの気概がなければ、アンケートはすぐに辞めてしまいましょう。
これはけっしてネガティブな廃止ではありません。
ポジティブな切り捨てです。
無駄な業務を減らすことで本来の教育に専念しましょう。
教育コンサルティングのご紹介
当社では教育コンサルティングをおこなっています。
教育コンサルタントが学校に出張訪問して、講演会や研修をいたします。
教員対象の講演会や研修だけでなく、保護者や生徒向けの講演会もお任せください。
その他にも教育力の診断、学校業務の改善、生徒対応の個別サポートなど学校教育全般を支えています。
今回紹介した学校業務の改善は、学校組織内の教員だけで進めるのは簡単ではありません。
なぜなら職員室内の小さな社会にはしがらみが多いからです。
話し合いを続けている間に人間関係が悪化して、改革が無に帰すこともあります。
学校の改革にはしがらみの一切ない外部の者が加わることをおすすめします。
当社の経験豊富な教育コンサルタントであれば具体的な改革案を提示し、貴校の改革をサポートいたします。
ぜひ一度ご利用ください。
ご興味のある方はぜひこちらをお読みください。
教育コンサルタントのご紹介
滝川 知靖(たきがわ・ともやす)
東京都在住の教育コンサルタント。大学卒業後に教員になり、私立高校や通信制サポート校を経て東京都内にある中高一貫教育の私立女子校で教壇に立つ。約20年間で中学1年から高校3年までの全学年の担任を務めた。特に、中学3年と高校3年の進路指導の経験が豊富。また、生徒一人ひとりの悩みに昼夜を問わず親身になって相談に乗る日々を過ごしてきた。特に、悩みを抱える子どもたちを献身的に支えたことで知られている。
現在は教育コンサルタントとして生徒および保護者のサポートをしている。その内容は、進路相談、勉強方法、不登校の生徒のサポート、発達障害のある子の支援など多岐に渡る。また、学校現場からの相談にも対応している。
近著『令和時代の私立中学校・高校選び ~わが子の進学先をどう選ぶか~』
お問い合わせ先
ご質問やご不明な点がございましたら以下のフォームよりお気軽にお問い合わせください。